平山温泉 家族湯名花

平山温泉、南の入口にあたる場所に休業中の寿楽園が建つ。その敷地奥に貸切湯がある。平日の昼前、新緑に囲まれた浴舎は穏やかな空気に包まれていた。


渋く装った入口を入ると受付。内湯、露天、内湯と露天、洞窟から選ぶ。内湯をお願いした。ドライヤーの入ったカゴと入浴中の札、入浴時間を書いたメモを渡される。脱衣所にはエアコン、扇風機テーブルなどが備わる。4㎡ほどの広さが確保される。

 

浴室も4㎡ほどの広さ、左側に浴槽、右に洗い場が配置されている。温泉は毎回、入替えされる。勢いよく注がれ、浴槽を満たしたころあいから少量注がれる。温泉は透明で、柔らかいヌルツル感が肌を喜ばせる。硫黄臭が鼻腔に届く。源泉は45.1℃、加水なしで供給されているようだ。平山温泉なら間違いないと納得させる泉質だ。

 

洗い場には混合栓が備えられている。出てくる湯は白湯だ。シャンプー類は用意されている。内湯を選んだが、戸外には露天が用意されていた。温泉は満たされていなかったが、露天周りの植栽や空を眺め開放感を楽しめる。得した気分になった。


10年ぶりの再訪(旧家族湯春日)、どうやら今回利用の浴室はそのときと同じだったようだ。


平山温泉 家族湯名花
山鹿市平山281-1
0968(41)7928
単純弱放射能温泉
46.1℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
貸切湯(内湯)
2000円/60分(平日10:00~17:00まで500円引き)
内湯+露天:2500円/60分(平日10:00~17:00まで500円引き)
時間延長可
10:00~24:00
休:水曜日
2025/5/29

寺尾野温泉 薬師湯

小国町の東部を南北に貫くファームロードわいたの中ほど、寺尾野地区への案内板に従いそれる。3分ほど下り車を停める。穂を満たした田んぼの側を抜けると浴舎が見えてくる。4年の歳月が消えていく。


浴舎はそのまま、浴室もそのまま、臭いもそのまま、脱衣棚も料金もそのまま。
誰もいない浴舎の窓は開け放たれ、心地よい9月の風が迷い込んでくる。


そっと身を沈めていくと、記憶に隠れた湯の印象が一気によみがえる。適温と硫黄臭に包まれ、心は安定する。


日々管理していただく地元の皆様に感謝しつつ、目を閉じしばらくを過ごした。


寺尾野温泉 薬師湯
阿蘇郡小国町大字上田字寺尾野
硫化水素泉
泉温不明
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯 
100円
入浴時間不明(地元の方に迷惑とならない昼間がよさそう)
駐車場:なし※路肩駐車可
2023/9/12

岳の湯・地獄谷温泉 裕花(貸切湯)

小国町の北西部、緑の連なりに抱かれた場所に、低く屋根を傾ける平屋の木造家屋が建つ。伸びた庇の左手には湯気を立てる蒸し釜が用意されている。入ると右手に受付、貸切湯をお願いする。


4室の貸切湯と2室のプレミアム貸切湯が案内された。選んだのは最も安価な岩風呂、50分1,300円だ。4人まで入れる。渡された札と利用のしおりを握りしめ、貸切湯へ向かう。

浴舎は独立し木立の間に建つ。黒を基調とした木造の造りは古民家の風情を与える。扉の先には脱衣所、洗面台にドライヤー、壁には扇風機が備えられている。振り返ると岩風呂が鎮座する。脱衣所と浴室の間は完全には区分されず、腰高程度の仕切りが3分の2ほど設けられている。


インターフォンのボタンを押すと浴槽に源泉が注がれる。勢いよくだ。瞬く間に源泉は浴槽を満たす。

やや熱めだ。加水の蛇口をひねった。湯口の源泉を手にすくってみる。透明な源泉から鮮明な特徴は感じとれない。弱い塩味をかすかに感じ取れる程度だ。身を沈める。肌にまとわる感覚は白湯とは異なる。源泉温度は98℃とのこと、湯口の温度は40℃程度と思われることから、源泉は湯口に届くまでの間に何らかの方法で適温調整が行われているのであろう。


窓を開けると草などは刈り取られ、長閑な山間風景が見える。時間の範囲でのんびりさせてもらった。受付へ戻るとゆで卵が売られていた。蒸し釜で蒸された卵のようだ。

阿蘇郡小国町北里1800-33
0967(46)4935
ナトリウム塩化物泉
98℃
シャンプー類あり ドライヤーあり エアコンなし(扇風機あり)
貸切湯(4室) 1,300円~2,300円/50分 定員4名
プレミアム貸切湯(2室) 2,800円~3,300円/60分 定員4名
露天風呂 600円(小学生400円)8:00~22:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)
2023/9/12

人吉旅館 露天風呂

2022年5月1日に全館再開、これまでなかった露天風呂が新たに造られていた。
なお、露天風呂は宿泊者のみが利用できる。立ち寄り湯での利用は不可だ。


たたずまいは変わらない。日本家屋の重厚さと歴史が保持され、球磨の風が出迎える。波が描かれたアプローチを踏みしめながら玄関に向かう。すかさず扉が開けられる。


露天風呂は内湯浴舎の南隣り、宿の東に位置する。限られた敷地内での設置で苦労されたのか、露天風呂へ続く廊下は狭隘だ。

歩いた先には涼み処が用意され、L字型の庭を眺めながら体を冷ますことができる。暖簾の先には脱衣所、履物入れ、脱衣棚、貴重品入れ、洗面台が用意されている。アメニティは至れりだ。


木戸を軽い力で引くと露天風呂。右手に洗い場が2か所、左手に岩を配した浴槽、視線の先には木々が植栽されている。露天風呂の上部には屋根が伸びる。完全な露天ではない。雨の日の利用も配慮したのだろう。

湯口から注がれる湯は内湯と同じ源泉が引き込まれている。鉱物味、ヒノキ臭、薄褐色、包まれる浴感、どれも内湯の印象と重なる。内湯は熱めだが、露天風呂はぬるめに設定されている。


露天風呂は3mほどの板塀で囲まれている。人吉の風景を眺めることは叶わない。宿がやや低い地形に立地することもあり、安心のためには仕方のない設計であろう。その代わり、巧みな植栽が四季を楽しませてくれる。


かかり湯をするスペースはない。洗い場でかかり湯をしてから浴槽に入ることになる。そのため、多数の利用が重なる場合は互いへの配慮が必要になろう。

2か所の洗い場はそれぞれ完全に囲まれている。シャワーなどの湯が浴槽へ飛び散らない気配りかもしれない。


2020年7月の災害からまもなく2年、困難を克服し全館再開を果たした宿の方々に敬意を表したい。

人吉温泉 人吉旅館
人吉市上青井町160
0966(22)3141 HP
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉
54.2℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
露天風呂 外来入浴不可
2022/5/24~25

人吉神城の湯 家族風呂

えびの市へ続く国道221号と219号三叉路をそのまま錦町中心部へ直進。600mほど東進すると右手に施設の入口が見えてくる。案内板に従い坂道を進むと家族風呂に着く。ゆとりある駐車場が迎える。


家族風呂の入口扉を開けると左手に受付。12室ある家族風呂が向かい側に写真で紹介されている。浴室は受付の方が指定する。市房杉と名前が付けられた最も奥にある浴室を指定された。料金は施設利用料金1,000円に利用人数分の利用料金を加えた額となる。利用時間は60分。


受付で渡されたシャンプー類とドライヤー(いずれも無料貸し出し)が入ったカゴを下げて浴室を目指す。無垢板で整えられた脱衣所には洗面台、エアコン(無料)、便所が備わる。

扉を開けると浴室だ。浴槽に満たされた湯は無色透明。手に救う。明らかな匂いを感じ取ることはできない。水のコックを絞れば湯口からは源泉のみが注がれる。源泉を口に含んでみる。味わいに特色を見つけることは難しい。肌に残る浴感にも個性を残さない。おとなしく万人に受け入れられる湯だ。


洗い場には混合栓が用意されている。用いられる湯が温泉かどうかは未確認。

人吉神城の湯(ひとよししんじょうのゆ) 家族風呂
球磨郡錦町大字西字大谷742-52
0966(34)5757 HP 
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 
50.9℃ 
シャンプー類 無料貸し出し
ドライヤー 無料貸し出し
家族風呂 12室 
1,000円(60分)+@300円(大人)※小学生は200円、小学生未満150円
9:00~24:00
2022/5/24

華まき温泉 家族風呂

JR人吉駅から北西へ15分ほど、農地と住宅が不規則に続く地域を抜けた先に佇む。平日の夕暮れ前、数台の車が駐車する。


受付でお願いしたのは家族風呂。最も奥に位置する温泉の案内を受けた。縁側のような扉を開けると畳が敷かれた4畳半の脱衣所。エアコンとドライヤーが備わる。時間が許せば休憩も可能な広さだ。浴室も4畳半の空間。


1間×半間ほどの浴槽が窓際に配置されている。湯口からはトロトロと源泉が注がれていた。窓は縁側の扉のように縦が1間ほどあり、開け放つと広い庭、そしてその先にある山々を一望できる。

湯は無色。口に含むとごく弱い塩味を帯びた鉱物味が広がる。肌には細かい泡が宿り、包まれるようなローション感を覚える。


洗い場の赤い印の蛇口を開けると源泉が出てくる。浴槽の湯口と同じ印象だ。

浴槽の壁側にある縦られた筒は打たせ湯だ。下部の蛇口を開けるとてっぺんの穴から湯が出てくる。もちろん源泉だ。

表示によれば、源泉温度が低いため加温されている。


華まき温泉 家族風呂
人吉市下原田横田1518
ナトリウム-炭酸水素塩温泉
34.5℃
シャンプー類なし ドライヤーあり
エアコンあり(無料)
家族湯1700円/60分(3人まで)
大浴場400円(小学生200円)
10:00~21:00
2021/10/25

人吉温泉 人吉旅館

人吉市内を流れる球磨川の右岸、人吉橋のたもとからほんの少し下ったあたりに宿は佇む。国指定登録文化財でもある宿は2021年10月1日、営業を再開した。被災から1年3か月が経過していた。


フロント、復旧に際しては可能な限り元の木材を使用したとのこと。重厚な梁はそのままだった。

浴舎へ続く廊下、階段も被災前の姿を復活させていた。より磨きをかけられた印象さえ受ける。休憩所は床などが張り替えられ、脱衣所の調度は真新しい。アメニティは至れりで、宿の湯の贅を感じる。


二つある浴場のうち奥にある浴室にお邪魔した。何一つ変わらない印象受ける。湯口から注がれる湯は記憶の湯と重なる。含むと鉱物味を覚える。身を沈めればつつみこまれるようなやすらぎを感じる。


宿の前には足湯が新たに設けられていた。被災前にはなかった。

 

宿は復旧途上だ。建物の改修工事は続いていた。全館改修が終わりフルオープンするのは2022年5月とのこと。新たに露天風呂が設置される計画。

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人吉温泉 人吉旅館
人吉市上青井町160
0966(22)3141 HP
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉
54.2℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯 600円
8:00~20:00
2021/10/25・26