黒川温泉街を流れる田の原川の岸辺に浴舎が建つ。旅館組合事務所前の駐車場から下りると契約駐車場がある。穴湯はこの駐車場に隣接する。
午前11時過ぎ、扉に鍵はかかっていない。100円を投入し浴舎に入る。誰もいない。浴槽は湯で満たされていない。給湯の途中だ。
二つに仕切られた奥の浴槽にパイプの湯口が導かれる。湯を手に取ろうとするが熱い。我慢してすくい口に含んでみる。渋味とも酸味ともつかない刺激味がつーんと来る。感じ取れる臭いは乏しい。透明の湯だ。
浴槽内は褐色に染まっている。壁の石も木製の仕切り板も褐色だ。湯口側の浴槽は熱くて身を沈めるのはつらい。手前の浴槽は何とかいける。加水すれば苦労なく湯浴みが楽しめるのかもしれない。洗い場はないので、浴槽から湯を汲み上げて体を洗う。
平日の昼前ながら温泉街は散策する人々で賑わっている。聞こえる言語は非日本語が多い。30分ほどを穴湯で過ごしたが、訪れる人はいなかった。
穴湯共同浴場は混浴だ。共同浴場で混浴なのは知る限りでは僅かだ。壁湯共同浴場、天ケ瀬温泉の玖珠川沿い露天風呂群くらいしか思い浮かばない。賑わう温泉地における穴湯の温泉文化は貴重だ。浴室内には女性専用の脱衣場が設けられている。
浴舎は幾度かの水害に遭っている。スノコや板壁に残された記録では2016年6月、2017年7月、今年7月に浸水したようだ。浴槽の改修工事も行われている。浴場の維持管理には多額の費用と関わる方々のご苦労がある。感謝して後にした。
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黒川温泉 穴湯共同浴場 混浴
阿蘇郡南小国町満願寺6541
単純温泉
77.8℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
100円(子供50円)
~19:00
2018/9/28