目的の宿はわらで葺かれた田の原温泉バス停のすぐ側だ。平日の午後0時前、立ち寄り湯をお願いする。浴場はフロント先から右へ折れ階段を下りた左手だ。脱衣所には木製の脱衣棚とプラ籠が備えられ、3基の洗面が並ぶ。
扉を開けると右に寝湯、左に主浴槽、正面に洗い場が配置されている。
主浴槽の湯口は湯面底に伸びる。淵は太い木で守られる。浴槽から溢れる湯は湯口に近い辺りの淵を越え流れ去っていく。湯は笹濁りで、肌の色を薄茶色に見せる。
寝湯は独立した浴槽で浅い。直径10cmを超える木が2本浴槽に渡され、一方に頭を乗せて利用する。浴槽の片隅に湯口があり、静かに注がれている。適温調整されている。
主浴槽の側に扉がある。露天への出口だ。岩で組まれた露天からは田の原の風景が一望できる。塀はなく視界を遮るものはない。丸見えだが露天らしい。湯口からの湯をすくってみる。臭いは感じ取れない。含むと弱い苦味がする。温泉らしい印象だ。湯口付近の石は土色に染まっている部分もある。
露天からしばらく風景を眺めた。民家や田んぼ、細道を走る軽トラックも見える。田の原に暮らす人々の日常がそこに見える。露天風呂のありようを示している気がした。
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田の原温泉 旅館湯之迫
阿蘇郡南小国町満願寺田の原7152-2
0967（44）0231 HP
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸温泉
58.5℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯 寝湯 露天
500円
10：00～15：00
2018/9/28