小田温泉 離れの宿 花心

黒川温泉沿いを通る国道442号から南へひと山越えると小田温泉へ至る。30年ほど前は農家民宿が道沿いに軒を並べ、温泉宿は1軒だったような気がする。
小田温泉エリアの東外れから細い道を約1㎞進むと目的の宿に着く。一番手前にある建物が受付とレストランだ。受付で立ち寄り湯をお願いする。入浴可を確認後浴舎まで歩いて案内していただく。
敷地内には平屋の建物がいくつもあり、それぞれが離れの部屋のようだ。浴舎はそんな建物群の最も手前にあった。




脱衣所の棚には珍しい竹籠が置いてある。農家育ちの方なら知っている道具、箕だ。貸しタオル、髭剃り、綿棒、コロンなども用意されている。宿の浴場ならではの充実したアメニティだ。
浴室は12畳間ほどの空間で右に浴槽、左に洗い場が配置されている。正面屋外には露天風呂が用意されている。内湯には大胆に岩たちが配置されている。




注がれる湯は透明で熱い。我慢して何とか手ですくえる。臭いは感じ取れない。口に含むと弱い石膏味がする。湯口付近の岩には温泉成分が付着している。尖った粒々が温泉の個性を主張している。洗い場の湯は白湯のようだ。

戸外に出ると岩で組まれた露天風呂が待つ。2~3人が限度と思われる露天は塀に守られている。南小国の自然を満喫できるロケーションとはいかないが、植栽された木々が自然を演出する。露天には湯口からのほか、内湯を溢れた湯が引き込まれている。源泉温度は60℃近いため、供給する湯量で浴槽の湯温は調整されているようだ。




熱ければ加水も許される。源泉を堪能したければ加水は避けるべきだが、熱くて入れないなら仕方ない。



施設内では草刈りが行われていた。秋の行楽シーズンに向けた準備だろう。自然に囲まれているということは、それだけ苦労も多い。宿の場所は小田温泉の中心部からは離れていて、途中の道は山間を通るため、徒歩での移動は注意が必要だろう。

平日の昼過ぎ、小田温泉に散策する観光客の姿はない。休日は賑わうのかもしれないが、平日でも賑わう黒川温泉とは対照的だ。農家民宿ではじまった小田温泉、少しだけ未来が気になった。


小田温泉 離れの宿 花心
阿蘇郡南小国町満願寺5349
0967(44)0055
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉
56℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯 露天
500円
10:00~21:00
2018/9/28