合志川左岸の植木温泉はその昔、平島温泉とも云われたらしい。川の両岸には温泉宿が軒を連ねる。平島館もその一つだ。
離合困難な路地を進むと、平屋建ての温泉旅館が見えてくる。旅館ややの湯の西隣に位置する。看板がなければ迷うだろう。
玄関を入り声をかける。主人らしき方が出てきた。立ち寄り湯をお願いする。快諾。300円を手渡す。浴場は玄関からではなく建物右手にある勝手口のような場所から入る。3畳間ほどの脱衣所に先客の気配はない。
スリガラスの引き戸を開けると浴室だ。鶯色のタイルが迎える。右に浴槽、左に洗い場とシンプルな配置だ。6畳間ほどの空間だ。正面戸外には露天風呂がある。しかし湯は満たされていない。長い間利用されていないようだ。
内湯浴槽は2槽に分かれている。湯口のある小浴槽がやや熱め、広い浴槽は適温だ。湯はほぼ無色でなめらかな肌印象だ。手に取ると弱い塩素臭を覚える。記憶では硫黄臭がするはずだが感じ取れなかった。口に含んでも玉子味を感じることはなかった。泉質の変化はありうることだろう。
湯口からは大量の湯が供給されている。溢れた湯は浴槽の淵に刻まれた溝から流れ去っていく。常に浴槽に新しい湯を注ぐ湯量の豊かさこそ、植木温泉の底力なのかもしれない。
2008年8月訪問時の記録はこちら
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植木温泉 平島館
熊本市北区植木町大字米塚335
096(274)7251
単純温泉
44.1℃
シャンプー類あり 石鹸あり ドライヤーなし
内湯
300円
営業時間未確認(訪問時刻は午後3時頃)
2018/6/2