筑後川に設けられた松原ダムに流れ込む杖立川、大分県と熊本県の県境から上流に向けて湯けむりの町が佇む。宿や飲食店は急傾斜地にへばりつくように建ち並ぶ。川岸は通路や駐車場として整備され、車の置き場所に悩むことはない。
川に面した左岸の通りに宿が立ち並ぶ。その一つに立ち寄り、温泉をお願いした。
スリッパを履き左手に折れて進むと浴場である。脱衣所は4畳ほどの空間、木製の棚と洗面台が迎える。戸外の寒さを忘れるように暖かい。掲げられた温泉分析表には94.9度の表示、沸騰に近い温度だ。杖立温泉には蒸風呂がある。サウナのようなものだ。複数の旅館で見ることができる。100度近い温泉が湧出することを利点として活用した施設だ。かねいし旅館にも設けられていた。
浴室内には暖気が満ちている。湯気ではなく暖気である。浴室には5~6人が一度にはいれそうな浴槽が右隅に一つ、左の壁に洗い場が並ぶ。手前右側に蒸風呂が配置されている。
浴槽の外にはもう一つ浴槽がある。空っぽだ。冬は湯がはられないようだ。戸外とは目隠しで隔てられているが、寒気は入り込みそうだ。
内湯は変形五角形の浴槽で、無色透明の湯が満たされている。注がれている湯は激熱というわけではない。温度調整された湯が湯口から供給されているようだ。浴槽を満たした後の湯は淵に刻まれた窪みから流れ去っていく。
浴室からは杖立の眺めを楽しむことはできない。杖立温泉といえば4月から5月にかけてのこいのぼりが風物詩だ。湯につかりながら眺めるのも一興かもしれない。
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杖立温泉 かねいし旅館
阿蘇郡小国町下城3358
0967(48)0341 旅館組合HP
ナトリウム-塩化物泉
94.9℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯 露天(冬場は休み)
500円
9:00~20:00
2017/12/13