湯の鶴温泉 きくの湯(喜久の湯)

湯の鶴温泉街の手前、湯出川の対岸に湯屋が見える。佇まいは10年前と変わっていない。側にある休憩所もそのままだ。
人が歩ける程度の小さな木製の橋を渡っていく。記憶にあった浴舎内の狭い通路はそのまま。その通路の壁に掲げてあった効用書もそのままであった。男湯女湯の入口の間にある番台、そこに置かれた料金箱に100円玉を収めると入浴できる。




狭い脱衣所には木製の脱衣棚が並ぶ。至ってシンプルだ。アルミサッシの扉を開けると浴場だ。
コンクリート製の浴槽は内側にブルー系のモザイクタイルが張られている。洗い場もコンクリート打ちっぱなしだ。浴槽には木枠で囲まれた中から塩ビ管が顔を出し、惜しみなく湯が注がれている。




やや温めの適温。絶妙な湯温だ。41℃という源泉温度のなせる業かもしれない。手にすくうと極僅かに硫黄臭を感じる。口に含むとまろやかなトロ味が広がる。



ひとりっきりの時間が過ぎていく。なんとも贅沢で幸福なひと時だ。
100円でこの湯、この空間、この時間を提供いただいていること、10年経っても変わらず維持していただいていることに感謝しないではいられない。


湯の鶴温泉 きくの湯(喜久の湯)
水俣市湯出1372-3
アルカリ性単純温泉
41.0℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
100円
8:30~18:00
2015/3/22