寺尾野温泉 薬師湯

国道387号から折れ、山里の風景に包まれながら細い道を進んでいくと、高度は徐々に上がっていきます。



点在する民家が途切れたあたり、田植えが終わったばかりの小さな水田が目に留まります。何度も訪れている風景は記憶と変わらず迎えてくれます。




黒い板壁に守られた浴舎は薬師湯の文字が掲げられ、どうぞお入りくださいと招くように扉は開け放たれています。
浴舎に入ると、開けられた窓から入り込む5月の風音と注がれる湯音だけが耳に届きます。




木製の棚に服をしまい、用意されている洗面器で浴槽の湯を汲み上げかかり湯をします。2槽に分かれた浴槽は、湯口側でやや温め、男湯女湯とつながった手前の浴槽は、初夏から盛夏ならゆっくりと長湯できる湯温です。
無色透明の湯は一切の濁りもなく、明快な硫黄臭が鼻腔に届きます。飲泉すれば弱い玉子味、苦みはなくすんなりと喉を潤します。





競うことに追われる現実とは異なるひと時、穏やかな時間は心の乱れまで癒してくれるようです。
地元の方々により守られている共同浴場、よそ者にも入浴の機会を与えていただいていることに深謝。


寺尾野温泉 薬師湯
阿蘇郡小国町大字上田字寺尾野
硫化水素泉
泉温不明
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯 
100円
入浴時間不明
2014/5/24