宮原温泉 元湯旅館
気になりながらも赤茶色の温泉ということでいつも通り過ごしていた宮原温泉元湯旅館、資格取得のため休暇をとったこの日、残った時間を宮原温泉で過ごそうと車を走らせました。
派手な看板が目立つ長命館と対照的な佇まいの元湯旅館、その風情は時間を何十年も遡らせてくれます。その名の通り旅館なのですが、想像するに宿泊客はほとんどいないのではないかと思わせる鄙び方です。
玄関で「ごめんください。」と声を発すると、パンツとTシャツのおじさんが出てきました。「温泉に入りたいのですが・・・」と言うと笑顔で案内してくださいました。一旦車へ戻り入浴セットをさげていくと、「ここは赤湯で、体を洗うところじゃないですよ。」と笑いながらおっしゃった。
おじさんの口案内に従いスリッパに履き替え廊下を進むと、今度はおばさんから「初めてですか?」と訊ねられ、浴室まで案内されました。さらに入浴の仕方を教えていただきました。
浴場は脱衣所と浴室が同じ空間です。脱衣所にはプラスチックの脱衣籠と壁に鏡があるだけで洗面台もありません。浴室にも洗い場がないのです。なるほど、体を洗う温泉ではありませんね。
浴槽は1.8m×2.2mが二つに仕切られ、奥の浴槽は熱く手前の浴槽に入ることになります。温ければ浴槽を仕切る壁の湯面から10cmほど下にあるタオルの栓を抜いて調節することになります。土色の湯、沸かす前の湯は少し濁りがある程度なのですが、沸かすことによって強い土色を帯びることになるようです。
浴槽の手前にあり男女の壁に跨り設置されている源泉の桝(円形)に流れ出る湯は飲むことができます。金属味がします。不思議です。あんな土色の湯が飲めるなんて。浴槽にはナイロンが被せられていて、入浴するときも熱い方の浴槽はナイロンが被ったままでした。浴室の壁はすべて土色に変色し、浴槽のコンクリートは温泉の酸で表面が激しく削られています。
宮原温泉元湯旅館、鄙びた建物とあの浴場は何物にもかえがたい貴重な温泉です。いつまでも存在していてほしいですね。
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宮原温泉 元湯旅館 ※2011/12/25現在休業中の情報あり
熊本市北区植木町宮原
鉄鉱泉(?)タオルが茶色 飲用可
ドライヤー、石鹸、シャンプーなし
神経痛やリュウマチに効果
400円
2004/7/27